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猫4匹と暮らす日々の出来事と、お出かけ記録や交友記、 本や映画の感想など(since 2005.2.24)
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きさらぎ

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愛唱詩歌集27 -あさきゆめみし-
2009/07/12 20:11 [Sun]
category:詩歌
きさらぎの所蔵本の中で、結構ヘビロテなのが、
マンガ「あさきゆめみし」(大和和紀)である。
言わずと知れた、「源氏物語」の漫画化。

で、今日、ごろりと寝転がってめくっていた7巻から、
数首抜き出してみる。

  かきたれて のどけきころの春雨に
  古里人をいかに偲ぶや

意に染まぬ結婚をして家を離れた養い児、玉鬘へ、
源氏が贈った歌。
意味は、

  しとしとと降る春雨に、
  昔なじみの私を思い出してくださいますか

とあるが、何だか随分はしょった解釈のような(笑)

返歌。

  ながめする 軒の雫に袖ぬれて
  うたかた人を偲ばざらめや

意味は、

 あなたを偲ぶ涙が 長雨の降る軒の雫のように袖を濡らします

漫画だから仕方がないが、これも結構はしょった解釈かも。
でも、雰囲気のあるいい歌だと思う。

「真木柱」の巻らしいのでそれを引いてもいいのだが、
上のやり取りが暗いので、ちょっと明るくこっちを引く。

  わが宿の 藤の色濃きたそかれに
  尋ねやは来ぬ 春の名残を

頭の中将が、源氏の息子夕霧に、
娘の雲居の雁を許した時の歌。
「藤」は雲居の雁のこと。訳さなくてもいいでしょう、これは。
要は宴の招待なのだが、これを受けて、
慌ててお父さんの光源氏のところへ駆け込む夕霧が可愛い(笑)
(まあ、行ってきますを言いに行ったようなのだが)
で、源氏は「その服はちょっと軽々しいから、
こっちを着ていきなさい」とか注意する源氏が、これまたいい感じ。

まあ、色々歌のやり取りはあったようなのだが、
「あさきゆめみし」に引かれているのは、この一首のみ。

  いくかへり 露けき春を過ぐしきて
  花のひもとく をりにあふらむ

なんともなまめかしい歌。これも訳すのはやめましょうね(笑)

いいなあ。好きだなあ、源氏物語。(←早く原文を読めっつーの)

テーマ:短歌 - ジャンル:小説・文学

それでも女だから
2009/07/05 13:52 [Sun]
category:詩歌
  愛してるにも聞こえた さよならにも聞こえた
  どっちか判らないのなら幸せなほう信じたいけど

  それでも女だから 悔しいけどそうだから
  言葉じゃ言えないこともある
  でも言葉じゃなきゃ伝わらない事もある

  恋をして 焦がれて らしくないことも判っていて
  ついついまたその気になって
  期待して 支度して おしゃれしていそいそと
  鳴らない電話抱きしめて 期待して 結局は 今日もまた待ちぼうけ
  馬鹿みたい
         篠原美也子「馬鹿みたい」(『河よりも長くゆるやかに』所収)

疲れたときには、詩集や歌集がいい。
頭を使わず、気負わずにぱらぱらと拾い読みできる。

そんなわけで、取り出したのが馬場あき子。
  ▽
馬場あき子歌集 (現代歌人文庫 15)

ポップスでもそうなのだが、やっぱり、何つーか女の歌だなあ、とか、
男の歌だなあ、とか、読みながら思うことがたまにある。

  なおしばし生きのほてりのつづきおる 無明長夜の父の骸(むくろ)よ

  さざんかの咲く冬となり霜となり 生きのこりゆく母が妄執

  苦しみて 忘れしことば歩みおる 春の堤の夕風の色

  身うちより痛みのきざす頬照りに 空を降りくる花の冷たさ

  季節逝き風ゆき噂流れゆき 存えておもむろに散るさくら見つ

  咲きつぎて 散りつぎて身に余るもの 朽たしゆくなり椿の真昼

  無限花序そらに紛るるばかりにて 紺よいつよりわが胸に棲む

  累年を何釣りてきし父と子ぞ 見えざる糸の引く地獄見ゆ

いや、もう少し関連性を持つ引用をしろよ、とも思いつつ(笑)
ぱらぱらめくりながら抜き出してみる。
あんまり「女」とは関係ないのだが、
やっぱり、何となく感性的に「女だなあ」とか、
詩歌には結構感じる事が多い。

まあ、作者が判らず読んでいて、
「これ女が書いてるでしょ」と言えるかどうかは、判らないとしても(苦笑)

何だかこう、フツーに恋愛とか歌っているような判りやすい歌ではなく、
述懐とか思想とかそういうものを歌っていても、
判る判らないよりもまず胸に来る、というのは、
やっぱり女の歌の方が多いような気もする。
きさらぎの感性が女だからかねえ。

  身うちより痛みのきざす頬照りに 空を降りくる花の冷たさ

こういうのは、男には詠めないんじゃないかなあ、と思うのだが。
どうだろうか。

テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

君は劇薬
2008/05/24 09:58 [Sat]
category:詩歌
君は劇薬

元気な時に君の声を聞くと
嬉しくて楽しくて踊りたくなる

辛い時に君の声を聞くと
淋しくて苦しくて立ち上がれなくなる

ほんの一匙でも 君は劇薬
取り扱い注意

written by kisaragi

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

愛唱詩歌集26 散華
2008/04/19 23:16 [Sat]
category:詩歌
続いて、同じ「桜、散る」でもちょっとダークな歌を数首。
(これ書いたら降ろすからな、陸(笑))

  白じろと 散りくる花を身に浴びて
  佇ちをりわれは救はるるなし
           (岡野弘彦)

  花散りて実をもつ前の木は暗し
  目つむれば天に届く闇ある
           (馬場あき子)

  身うちより痛みのきざす頬照りに
  空を降りくる花の冷たさ

  きみひとり たそかれびととなしはてて
  さくらは土にしずけかりけり

う〜ん、やっぱり感じが違うなあ。近現代。

岡野弘彦は、大正生まれの歌人。
ウィキペディアで調べたところ、
2007年に「バグダッド燃ゆ」で現代短歌大賞を受賞、って、
まだ生きてるじゃん!(←失礼(笑))
戦争体験にこだわる。

  辛くして我が生き得しは 彼等より
  狡猾なりし故にあらじか(岡野弘彦)

関係ないが、ちょっと思い出した句一つ。

  故友みな 目を開きをり 春の星
               (秋元不死男)

残り3首は馬場あき子。
歌人、文芸評論家として有名。この人の歌は、
多分おいおいまた書いてゆくと思う。

テーマ:短歌 - ジャンル:小説・文学

愛唱詩歌集25 サクラ、チル
2008/04/19 22:44 [Sat]
category:詩歌
久しぶりに、愛唱詩歌集。
単に、膝に陸が乗っていて、降ろすのが忍びないので
記事でも書こうかと(笑)

  けふこずはあすは雪とぞふりなまし
  消えずはありとも花と見ましや(古今63)
            在原業平

「今日来なかったら、明日は雪のように散ってしまっていたでしょう。
 雪ではないので消えはしないでしょうが、
 散ってしまっていたら花だと思って見ていたでしょうか
 (そんなわけで、今日ちゃんと来ましたよ)」の意。

ここから派生した歌に、こんなのがある。

  けふだにも 庭をさかりとうつる花
  きえずはありとも雪かともみよ(後鳥羽院)
    (今日は既に大内の庭の桜も盛りを過ぎているので、
     消えずに残っている雪かともみてください)

後鳥羽院は、散っていた桜の花びらを、
硯の箱に入れて良経に贈り、この歌を添えた。

返し。

  誘われぬ人のためとや残りけむ
  あすより先の花の白雪(藤原良経)

今日のこの「花の雪」は、
誘われなかった私のために残ったのでしょうね。

……かな?何だかちょっとピンと来る訳が見つからないので、
とりあえずきさらぎ訳。何か違う??
共に新古今和歌集所収。うちにあったかなあ、新古今。

後鳥羽院はまあいいとして、
良経の方、記事を書くためにちょっと調べてみた。
  やまとうた頁
   ▽
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/yositune.html

藤原良経は、九条良経とも呼ばれる。
後鳥羽院歌壇の人。父は摂政忠通、妹が後鳥羽院后、
兄内大臣、弟左大臣、太政大臣、子供内大臣、后、摂政、と、
結構とんでもない名門中の名門の人。
本人も38歳で急死しているが、摂政太政大臣にまで昇っている。わあ。
歌の師は藤原俊成、定家。
後鳥羽院に「地歌(今ひとつの歌、だったと思う)がない」、とまで言われた、
早熟の天才肌の人、って感じかな。

良経は上のやり取りが好きだったようで、
この歌を是非新古今に、と自賛したそうだが、
定家は嫌がったそうだ。
これを、やり取りそのものが風流であれば、
特に秀歌でなくても残してゆきたい、という良経の考えと、
とにかく歌の優劣にこだわる定家の芸術主義が衝突した形、
と見たのが、後鳥羽院の定家評。
………らしい。

一応この記事を書くためにネットで調べていて
そんな感じの記事にぶつかっただけなので、
あまり信用しないでね(笑)
  ▽
http://dokushin.hp.infoseek.co.jp/teika-5.htm

テーマ:短歌 - ジャンル:小説・文学

愛唱詩歌集24 海の歌
2008/02/22 12:46 [Fri]
category:詩歌
ちょっと番外で、今回は歌詞。

海の歌を歌いだすと、
何故か海の歌ばかり歌い継いでいることがある。

  海よ お前は覚えているか
  若い船乗りの夢の行方を
  海よ お前は覚えているか
  そして帰らない 小船の数を
          中島みゆき「海よ」

  舵をなくして 櫂もなくして
  浮かれ 浮かれ 身も世もなしに

  足は千鳥と成り果てて 遠い月夜を物語る
  赤灯の海に漂い 一つ二つの思い出を抱き
  赤灯の海は優しい 海と名のつくものは優しい
           中島みゆき「赤灯の海」

  一人が寒い夜は 満ち潮の夜を待つ
  真っ白い服をまとい ワルツ踊る相手を探す
           ZABADAK「満ち潮の夜」

  海は満ちて引いて 波はふいごのように
  涼しい音楽を町に送る
  耳を傾けて 星が歌うメロディ
  溢れる音の中 ただ一つ選んで
           ZABADAK「遠い音楽」

  つきがかけ つきがみち ぼくはあゆんだ
  こいしにつまづき ひいてゆくなみを
  あしのうらにかんじながら
  かぞえきれぬほどのなまえを ひとつ
  またひとつと おぼえ
           谷川俊太郎「ぼく」

  海を見下ろす丘の上は いつでも向かい風が吹いてる
  空と海の青と 思い出とが 一列に並ぶ
  君が愛していた 子犬は あれから大きく育って
  今ぼくのそばで 一緒に海鳴りを聞いている
           さだまさし「黄昏まで」

  海 わたしのふるさと 風 それはゆりかごだった
  今 遠いふるさとの歌を 思い出しているよ
           三善晃「海」

きりがないのでこの辺にしておくが、海というのは
本当にすごいイメージ喚起力を持っているように思う。
海の歌を歌う時、いつも潮騒や風までも身に受けるような気がする。

それを思うと、山の歌ってあんまりない気がするなあ。


テーマ:音楽 - ジャンル:音楽

愛唱詩歌集23 凍る
2008/02/15 12:43 [Fri]
category:詩歌
  夕焼空 焦げきはまれる下にして
  氷らんとする 湖の静けさ

  ここにして 坂の下なる湖の
  氷うずめて 雪積りをり

  空澄みて 寒きひと日や みづうみの
  氷の裂くる音ひびくなり

  冷えこごえ やがて凍りし湖のこと
  思想のごとし 冴え冴えとして

多分、全て武川忠一氏。(むかわ・ちゅういち と読む)
  ▽
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E5%B7%9D%E5%BF%A0%E4%B8%80

どこで見かけたのか、今では全く覚えていないのだが…(苦笑)
ひやりとした感覚が、結構好きだ。

ちなみにウィキペディア(上のページ)では、
こんな歌も載っていた。

  越えてきし峠の闇に散るさくら
  白冴え冴えと流れいるべし

「冴える」「澄む」といった言葉を多用したのかな?   

テーマ:短歌 - ジャンル:小説・文学